人間万事塞翁が馬の意味と読み方、座右の銘にもできることわざ
不思議な語感と興味深い話のあることわざ
人間万事塞翁が馬(にんげんばんじさいおうがうま)
漢字を並べ立てたことわざは
字だけ見ても、
なんのことやら分かりませんね。
単に塞翁が馬(さいおうがうま)、ともいいますが
ますます分からなくなります。
しかし、なんとなく想像力をかきたてられます。
こういう言葉、割と好きです。
そして、このことわざは
座右の銘としている人もいるくらい
大事な教訓が含まれています。
この言葉の意味と
また、読み方についても議論されることがあるので
それについても述べていきます。
どういったことわざか
人間万事塞翁が馬(にんげんばんじさいおうがうま)は
幸せや災いというのは予想ができないものだ、
という意味です。
もうちょっと補足すると
幸せだと思っていたものが不幸の原因になったり
禍(わざわい)の種だと思っていたのが
幸運を呼び込むことがある、
という意味も含んでいます。
![人間万事塞翁が馬](http://kotowaza-kanyouku.com/wp-content/uploads/2016/01/saiougauma02-300x169.jpg)
この人間万事塞翁が馬ということわざは、次の故事に由来します。
むかし、中国の北方の塞(とりで)のそばに
おじいさんが住んでいました。
ある時、このおじいさんの馬が逃げ出してしまったので
近所の人が気の毒に思っていましたが
おじいさんは
「このことが幸運を呼び込むかもしれない」
と言いました。
しばらく後に、逃げ出した馬が戻ってきました。
しかも、他の馬を連れてきており
それは、とても足の速い立派な馬でした。
近所の人が喜んでいると、おじいさんは
「このことが禍(わざわい)になるかもしれない」
と言いました。
すると、この馬に乗っていたおじいさんの息子が
馬から落ちて足を骨折してしまいました。
それで近所の人がお見舞いに行くと
「このことが幸いになるかもしれない」
と、おじいさんは言いました。
やがて、戦争が起き、
多くの若者が命を落とすことになりましたが、
おじいさんの息子は足を怪我していて
戦争に行かなかったため無事でした。
……という話です。
![驚きの表情](http://kotowaza-kanyouku.com/wp-content/uploads/2017/08/MAX86_gaijinnohannou20140531_TP_V-300x200.jpg)
「このじいさん何言ってんだ」
などと思うなかれ、彼は占いが出来たのです。
これは中国の「淮南子(えなんじ)」という書の
「人間訓(じんかんくん)」という部分に
載っている話で、
禍と思っていたのが幸運の原因になり
幸運と思っていたのが禍の理由になり
さらにそれが幸運となった、
というややこしい話ですが、
ようするに
幸や不幸は簡単には予想できない
ということになります。
![分からない](http://kotowaza-kanyouku.com/wp-content/uploads/2016/01/PAK85_lalamaittawai20140321_TP_V-300x181.jpg)
なお、塞翁が馬の
「塞」は砦、要塞という意味で
「翁(おきな)」はおじいさんです。
「塞翁」だと砦のそばに住んでいるおじいさん、
ということですね。
人間万事の「人間」は
ここでは世の中、世間ということなので
「人間万事塞翁が馬」だと
世の中のことはすべて
何が幸いして何が禍するか分からないものだ
という意味になります。
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読み方はどっち?
このことわざで、疑問になるのが
人間万事塞翁が馬の読み方です。
辞書では「にんげんばんじさいおうがうま」
と書かれているので、こちらが正しいようですが
出典の「淮南子-人間訓」は、
「えなんじ-じんかんくん」と読む、
また、中国語では「人」と書くと
日本語と同様、人そのものですが、
「人間(じんかん)」と書くと
「世間、この世」という意味になり
人間万事塞翁が馬は
「世の中のことは何が幸いして禍するか分からない」
というような意味ですから
ここでの「人間」は中国語の「じんかん」だとして
人間万事塞翁が馬は
「じんかんばんじさいおうがうま」
という読み方もされます。
![考える](http://kotowaza-kanyouku.com/wp-content/uploads/2017/09/150415222377_TP_V-300x200.jpg)
どちらの読み方をするかは人によりますが
こだわりがなければ、辞書に載っている
「にんげんばんじさいおうがうま」のほうが
意味が通じやすいので、こちらを使い、
由来にこだわりたいのであれば
「じんかんばんじさいおうがうま」
という読み方をするといいでしょう。
また、単純に「塞翁が馬(さいおうがうま)」
とだけ言ったほうが間延びしなくて
かっこいいかもしれませんし、実際にこれでも通じます。
塞翁の馬じゃないの?
もうひとつ、気になるかもしれないのが
「塞翁が馬」の「が」の部分。
上記の故事から分かるように
おじいさんの馬だったので
「塞翁の馬」じゃないの?
と思われるかもしれません。
塞翁が馬だと
「おじいさんの正体は馬だった」
みたいな意味になりますからね。
ですが、これは簡単なことで
「が」も「の」と同じ、
所有を表す格助詞として使えるからです。
![説明](http://kotowaza-kanyouku.com/wp-content/uploads/2017/08/SAYA0I9A8798_TP_V-300x195.jpg.pagespeed.ce.Cp_wOhs3yt.jpg)
たとえばヘミングウェイの有名な小説
「誰がために鐘は鳴る」などもそうですが
古風な言い回しの場合、
「が」を「の」と同じ意味で使うことがあります。
したがって、「塞翁が馬」も
おじいさんの馬、ということになります。
使い方、座右の銘として
読み方や助詞の使い方など
いささか勉強っぽい内容になりましたが
もちろん大事なのは、
実際にどういった使い方をするかです。
例えば不運なことが合った場合、
「塞翁が馬というから、気を取り直してがんばろう」
といった感じではげましたり、
反対に、幸運なことでも
「塞翁が馬の話もあるので、油断しないでおこう」
と戒めることもできます。
![考える人](http://kotowaza-kanyouku.com/wp-content/uploads/2016/01/JK92_hohohiji20150222103753_TP_V-300x200.jpg)
現実にも
・良い企業に就職できたが仕事が合わなく大変な思いをする
・新車が手に入って喜んだら事故を起こした
反対に
・第一志望の学校に落ちたが、
仕方なく行った第二志望の学校が思いのほか楽しかった
・入院したのをきっかけに自分の時間を持つことができた
など、良いことがきっかけで悪いことが起きる
悪いことがきっかけで良いことが起こる
というのは、おそらく誰の人生にもあることでしょう。
生きていけばいくほど
実感を伴うようになることわざです。
逆境に陥ってもそれを逆用するぐらいにする、
物事が順調に進んでも油断しない、
いろいろなことに一喜一憂や右往左往しない
どっしりとした人生を過ごすためにも
塞翁が馬を座右の銘にするのもいいですね。
![どっしりとする](http://kotowaza-kanyouku.com/wp-content/uploads/2017/08/00_PP42_PP_TP_V-300x200.jpg)
こちらではこのことわざを英語で
なんというかについて述べています。
「人間万事塞翁が馬」は英語だと、こんなにたくさんの意味になります
いろいろな言い回しがあって
いかに奥深いことわざかがわかりますね。
似た意味のことわざは
禍福は糾える縄の如し(かふくはあざなえるなわのごとし)
沈む瀬あれば浮かぶ瀬あり(しずむせあればうかぶせあり)
があります。
禍福は糾える縄の如しは
先ほども少し述べましたが、
ドラえもんにも使われたことわざですね。
禍福は糾える縄の如しの意味と、ドラえもん
よかったらご覧くださいね。
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山中伸弥さんの
「山中伸弥先生に、人生とips細胞について聞いてみた」
という本を読んで「人間万事塞翁が馬」という言葉を覚えました。
実際に使うことはありませんが思ったことはえります。
コメントありがとうございます。
言われてみれば、この言葉は使うよりも
思い返すことのほうが多いのかもしれませんね。
記事にも書いた、由来となった話の情景を想像すると
じわじわ効いてくるような気がします。
ためになる記事ですね〜
ありがとうございます!
これからも、今まで以上に分かりやすく、
お役に立てる記事を書けるように頑張ってまいります。