猿も木から落ちるの意味は簡単だけど使い方はむつかしい

ことわざの中で
有名なもの五本の指に入りそうなのが

猿も木から落ちる


意味はすぐに分かるもので
子供のころには良く使うことわざですが
実はオトナになるにつて、
使用頻度が下がるものでもあります。


なぜなのか、また、代わりに使えることわざは
どんなものがあるのかについて述べていきます。



どういったことわざか


猿も木から落ちる(さるもきからおちる)とは
どんなに上手い人でも、たまには失敗する
という意味です。



猿と言えば木登りが上手な生き物ですが
それでもたまには落っこちてしまうよ、
ということですね。


使い方としては、運動が得意な人が失敗した、
簡単なボールを落とした場合などに
「猿も木から落ちる」ということによって

「上手い人でもミスすることがあるから
しょうがない」

という意味になり、
失敗をフォローしてあげることができます。


得意なスポーツで負けてしまう、
好きな科目のテストで低い点数しか取れなかった、

こういった場合は、
どうしても落ち込んでしまうものですが
「猿も木から落ちる」といってあげると

「誰だって失敗することはあるから
一回ぐらいは気にしないで」

と、はげます意味にもなりますね。


実際に、どんな上手い人でも
たまには失敗するものですから
このことわざを使う場面は多いでしょう。

意味は間違えようがないとは思いますが
覚えておくといいですね。


このことわざのよいところ


猿も木から落ちる、ということわざが
これほどまでに有名なのは

先ほども述べたように使う場面が多いのと
猿=木登り、という
とても分かりやすい例を使っているからでしょう。

初めて聞いた人でも
なんとなく意味が分かりますからね。


同じ意味のことわざはたくさんあるのですが
子供にも誰にも分かりやすいということでは
この「猿も木から落ちる」が一番ですね。


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注意点としては


このように、大変便利なことわざですが、
ひとつだけ大きな弱点があります。

それは、上手い人を猿に例えてしまうことになる
ということです。


猿というのは、木登りが得意な動物、
というイメージのほかに

猿でも分かる
猿並の頭脳

というように、頭が悪いという例えで
使われることがあります。


本当は猿は動物の中ではかなり賢いんですけどね、
なんとも気の毒な話です。


とにかく、こういったイメージもあるので、
大人に向かって、猿も木から落ちるというのは
あんまり使うことはありません。


特に、社会人になってから「上手い人」というのは
何かの先生だったりするわけですから
そんな人に向かっていうのはちょっと……。


別にこのことわざには馬鹿にするような意味は
ないのですが、うかつに使うことができず、

代わりに
弘法にも筆のあやまり
ということわざを使う場合がほとんどです。



別に大人でなくて子供の場合でも、
猿も木から落ちる、というのは

たとえば勉強はさっぱりでいつも鼻水垂らしているが、
とにかく足だけは速い子が運動で転んだ場合に
使われたりして

足の速いのを認めてフォローしているのか
ちょっと小馬鹿にしているのか
どっちの意味か分からない感じもあります。


このため、誰もが知っている
ことわざにもかかわらず、使い方が難しく、
実際にはあまり聞かれなくなるという
ちょっと不思議なことわざでもあります。


同じ意味のことわざがたくさんあるというのも
理由のひとつでしょう。

弘法にも筆の誤り(こうぼうにもふでのあやまり)
河童の川流れ(かっぱのかわながれ)
上手の手から水が漏れる(じょうずのてからみずがもる)
千慮の一失(せんりょのいっしつ)
釈迦にも経の読み違い(しゃかにもきょうのよみちがい)
孔子の倒れ(くじのたおれ)
竜馬の躓き(りゅうめのつまづき)
麒麟の躓き(きりんのつまづき)


などがあります。

先ほど述べたように
弘法にも筆の誤りが代表格ですが
ほかにもたくさんありますね。
「麒麟の躓き」なんてかっこういいですね。


たまに「犬も歩けば棒に当たる」も
同じ意味と考えている人がいますが
これはまったく違うので注意が必要です。

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