蛇足の意味と使い方、壮大な話があったからこそ伝わっている?

これも割とよく使われてる言葉だと思います。
知っている人は自然に使っているでしょう。

蛇足


言葉の響きと言い、文字と言い
それほどかっこいいものではありませんが
意味もまた、残念な出来事を表しています。

しかし、最初に使われたのは
なかなかすごい話でもあります。


今回はこの「蛇足」
の意味と使い方についてです。


どういう言葉なのか


蛇足(だそく)とは
よけいなことを付け足したために
物事の価値を下げたり、
駄目にしてしまうことです。



素晴らしい話をして感心されていたのに
最後にくだらないことを言って
しらけさせてしまった。

性能がよくて完璧なパソコンだけど
使わないアプリがたくさん入っている。

など、
蛇足と表現したくなることは
世の中たくさんあります。



単に「なくてもよいもの」、
という意味の使い方もされますが
本来の意味は
「むしろないほうがいいもの」
ということになります。


由来は次のもの


紀元前3世紀ごろの中国にあった
楚(そ)という国のお話です。


ある祭りで、
召使いたちに酒がふるまわれました。

しかし、その酒の量は少なく
みんなで飲むには物足りない量でした。

ただ、ひとりで飲むには
充分な量だったため、召使いたちは

「今から地面にいっせいに蛇の絵を描こう。
いちばん早く描いた者が酒を飲むのだ」


と約束して、競争することにしました。


そして、その中で最初に描き上げた人が
酒を飲みかけましたが
他の人が描き終わるまで
まだまだ時間がかかりそうでした。

そこで、調子に乗って
「足を描くことまでできるぞ」
さらに描き足しました。

ところが、二番目に蛇を描き上げた人に
蛇に足なんてない
(だからあなたは蛇を描いたことにならない)」
と言われて、酒を飲まれてしましました。


という話です。


最初に蛇を描いた人は
そのまま酒を飲むことができたのに
わざわざ描かなくてもいい足をつけ足したために
自らの絵を台無しにしてしまったのです。


ここから蛇足が
よけいなことをつけ足して駄目にする
という意味になりました。


だれが酒を飲むのか決めるのに
いちいちこんな面倒な競争するのかな?
という気もしますが

今と違ってテレビもスマホもない当時は
楽しみも少なかったので
こういったことをして
面白がっていたのかもしれませんね。


それにしても
なんでこんな飲み屋の余興のような話が
何千年もの間、伝えられているのか

それは次の話が有名になったからです。


この例えが最初に使われたのは?


蛇足の話はかなり有名で
上手くいっているからといって
よけいなことはしないほうがいい
という意味の教訓としてよく使われますが、

これをたとえ話としての使い方をしたのは
『戦国策』という書物の「斉策」にのっている
かなりスケールの大きい話です。


中国の戦国時代で
楚(そ)の昭陽将軍が、
魏(ぎ)の国に攻めて勝利を収めました。

そして、楚の昭陽将軍は
さらに斉(せい)の国に攻め込もうとしました。

その知らせを聞いた斉の王は困っていましたが
陳軫(ちんしん)という人物が

「わたしが楚の軍隊を引き返させましょう」
と、ひとり出かけていきました。


そして楚の昭陽将軍に会い、
さきほどの蛇足の話の意味を教えます。

「あなたはすでに魏の国に勝利し、
その手柄ですでに最高の位についている、
これはすでに蛇の絵を完成させている状態です。

このうえ斉の国に勝利したところで
これ以上、上の位は存在しないので
出世のしようもなく、
失敗して降格や処罰になる危険があるだけです。

だから、斉の国に攻めるのは
蛇足というものです


といって説得し、
昭陽将軍を引き返させました。


この逸話が蛇足の意味と共に
後世に語られるようになりました。

三国志の諸葛孔明といい
中国の話にはこのような
「話ひとつで軍隊を動かす」話が
たびたび出てきますね。


どうしても蛇足というと
その意味から

「よけいなことするな」

みたいな、くだらない話ばかりが
例になるのですが
もとは見事な由来だったのですね。

単なる酒の取り合いだけでなく
こんな壮大な話があったからこそ
現代にも伝わっているのでしょう。

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実際の使い方としては


上記の陳軫のような事態は
さすがにないでしょうけれで
私たちの生活でも、
蛇足という言葉を使う場面はたくさんあります。

おもな使い方は
・よけいなことしないよう戒める
・意見を述べるときに謙遜して使う

というものでしょう。


前者の使い方としては
「君のやっていることは蛇足だ」とか
「その最後の言葉は蛇足だ」

といったもので、意味としては
「よけいなことはするな」
「最後の部分は省略したほうがいい」
ということになります。

先ほどの由来からすれば
こういった使い方が本来の意味に近いですね。


もうひとつの、謙遜としての使い方は
「蛇足かもしれませんが、
私の意見を述べさせていただきます」

という具合ですね。

単に自分の意見をまくしたてるよりも
このように前置きすることで

「私の意見はもしかしたら
余計なことかもしれませんが
参考になれば幸いなので、言いますね」

と、控え目な印象を与え
相手に拒絶されにくくなります。


蛇足は意味が広く知れ渡っていますし、
「だそく」という三文字なので話し言葉としても
短く伝えることができて便利です。
知っておくと実用的な言葉と言えるでしょう。


類語としては
無用の長物
薬も過ぎれば毒となる
過ぎたるは猶及ばざるが如し

があります。

「余計な心配」ということでしたら
杞憂という言葉もありますが
蛇足とは意味が違いますね。

また、反対の言葉としては
画竜点睛を欠く
というものがあります。

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