過ぎたるは猶及ばざるが如しの意味、日本人には特に大事かも

誰かが重々しく言っているのを
たまに聞くことがありますが
知らない人にはおそらく
さっぱり通じないであろうことわざ、

過ぎたるは猶(なお)及ばざるが如し


いかにかっこよく言おうとも
相手が知らなければ話になりませんし、
また、誰かに言われたときに自分が知らない場合も
同様です。

このことわざの意味と、また、
「過ぎたるは及ばざるが如し」と
猶(なお)の部分を抜かして言われることもありますが

どちらが正しいかについても述べていきます。



どういうことわざ?


「過ぎたるは猶及ばざるが如し」は
なにごとも、やりすぎるのは
やり足りないことと同じようによくない
という意味です。



「なにごとも」というだけあって、
例はいくらでもありますね。

体に良いから牛乳を飲みすぎると、
お腹をこわす。

スポーツで練習をやりすぎると、
体調をくずしたりケガをする。

しつけのためとはいえ、
怒りすぎると子供が委縮する。

など。


どれもほどほどで止めれば
良いことで、必要なことなだけに

どの程度でとどめるか
加減が難しいものでもあります。

つい調子に乗ってやりすぎないためにも
過ぎたるは猶及ばざるが如しの意味を
意識しておくといいでしょう。


「猶」ってどういう意味?


よく耳にするのが
過ぎたるは及ばざるが如し、と
「猶」を飛ばしていうもの。


これでも意味は通じますし
むしろこのほうがスッと理解できるのですが

過ぎたるは猶及ばざるが如し
が正しい言い方になります。



なぜならば、このことわざ、
もとは中国の孔子という偉い人が
弟子に言った言葉です。

それで、論語という書物に
「過猶不及」と漢文で書かれたものが
日本に伝わったもの、

「過」が「過ぎたる」、
「猶」が「猶~如し」
「不及」が「及ばざる」


それで
過ぎたるは猶及ばざるが如し
となります。


「猶(なお)」という漢字の意味ですが
「尚(なお)」とも書き、

  1. 以前の状態が続いているありさま。
    (例・今もなお元気で過ごしている)
  2. さらに、もっと
    (例・君が助けてくれれば、なお有り難い)

といった意味で使われますが、

そのほかに
~のようだ、~のごとし
という意味もあります。


この場合、「猶~如し」と
あとに「如し(ごとし)」をつけて使いますので

過ぎたるは猶及ばざるが如し
となるのです。


普通はわざわざ漢字にせず
「なお」とひらがなにで書くか、
漢字にするにしても「尚」と書くのが一般的なので

あんまり馴染みのない漢字ですね。


ことわざとしてでなく単純に日本語としてなら
「過ぎたるは及ばざるが如し」
と「猶」をつけなくても意味は通じます。

ただし、原文である漢文を考えると
「猶」をつけるのが
本来の言い方になります。


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どういった場面で使うか


先ほど述べたように、このことわざは
それこそあらゆる場面で大事なことでしょう。


もちろん根気がなくて何も続かない人や
テスト前の勉強など、
頑張らなければいけない時もありますが

それでもやりすぎて体調をくずしてしまうと
元も子もないです。


特に日本人は大勢で何かをやると
ワーっと盛り上がって極端に走る傾向があるので

仕事や近所のグループ、学校の集まりの時に
過ぎたるは及ばざるが如し
と心に留めておくのもいいでしょう。



また、何かをやりすぎるというだけでなく

・嘘は絶対にゆるさない
・自分が絶対に正しい

など、人の考え方そのものについても
極端すぎる考えはよくない
ので
そういうことを戒める場合にも
使うことができます。


似た意味のことわざ


同じようなことを説いているものには

  • 薬も過ぎれば毒となる
  • 君子は何事においても中庸を旨とす
  • 凝っては思案に能(あた)わず
  • 凝っては思案に余る
  • 分別過ぐれば愚に返る
  • 蛇足

  • があります。

    やりすぎるだけでなく、
    考えすぎるのも、
    かえってよくないということですね。


    元をたどれば孔子の時代
    つまり紀元前から言われていること
    そしてこれだけ同じような意味のことわざがある
    というところからも大事なこと、

    そして
    過ぎたるは及ばざるが如しで、はなく
    本来は
    過ぎたるは猶及ばざるが如し

    というのを覚えておくといいでしょう。

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