渡りに船(わたりにふね)のありがたい意味と「渡りに舟」との違い
これは、なかなか嬉しい状況の言葉です。
渡りに船(わたりにふね)
どうしても
ことわざとか慣用句というのは
教訓とか、いましめなどのものが多く、
もちろんそれはそれで素晴らしいのですが
そればっかりでは疲れるというもの。
そんな中、これは、
ただラッキーな状況をあらわしているので
考えるのも楽ですね。
ということで、
渡りに船の意味についてです。
こんな慣用句です
渡りに船(わたりにふね)とは
なにかをしようとしていたら
それをやるにあたって、
ちょうど良いことがおこった、という意味です。
たとえば部屋のいらないものを
捨ててしまおうと思ったものの、
思ったより大量にでてきてどうしよう!?
という、引っ越しなんかで
よくある状況のとき、友達が
「いらないものもの、もらっていい?
いや、持ち運び用の車とかは
全部こっちで用意するからさ」
なんて言ってくれたら、それは大助かりな話です。
こんなとき、
「渡りに船とばかりに
いらないものを持って行ってもらった」
というように使います。
「しょうがないなあ、
ほかならぬ君だから特別にゆずるよ」
とか言いながらも、顔がほころんでいたり…。
かっこよく辞表をたたきつけて
仕事をやめたけど、次の仕事が見つからない
やばい! どうしよう?
なんてとき、知人から
「人手不足で困っているので
給料多めに出すから働いてほしい」
と言われて、
「これは渡りに船だ、と働くことにした」
という具合ですね。
「うむ。君がこまっているのを見過ごすことは出来ん!」
とか言いながら、内心むちゃくちゃ胸をなで下ろしていたりとか。
この渡りに船の意味の由来は
『法華経(ほけきょう)』という
仏教の書物からきています。
この川をどうやって渡ろうか?
と思案していたら、
ちょうどそこに船がやってきたというもの
まあ、「渡りに船」の言葉そのままのお話ですね。
現代の日本では、川を渡れずに悩むなんて
どこの山奥か田舎かという話ですが、
むかしは今のように
交通が整備されていなかったので
川を渡るのは大変だったのでしょう。
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「渡りに舟」とも書く?
この慣用句ですけれども、
基本的には「渡りに船」ですが
「渡りに舟」という書き方をすることもあります。
辞書によって違いますが
どちらも載っていますので、
おそらく両方とも正しいのでしょう。
読み方はどちらも「わたりにふね」で
もちろん意味は同じです。
両者の違いですが、
「船」は、いわゆる「ふね」で
海や川にぷかぷか浮かんでいる、アレです。
大きくても、小さくても「船」です。
「舟」も読み方は「ふね」ですが
船のなかでも、小型のものを指します。
オールなんかで漕ぐボートみたいな感じですね。
「渡りに船」の船が、
どんなものなのかは分かりませんが、
クイーンエリザベス号や戦艦大和のような
でかいのがゴゴゴゴ来た、
だとちょっとイメージが違う気がしますし、
やはりこういう時はギイギイこぐような
木で出来た小舟のほうが雰囲気がでてくれます。
物語とかでも
「おお! こんなところに船が!」
なんてのは、たいてい小さなボロ船ですものね。
なので、「渡りに舟」という書き方も
よく分かります。
もちろんそういった小さいふねを
「船」と書いても差し支えないので
「渡りに船」でも大丈夫ということになります。
人生は思ったより幸運が多い?
ということで「渡りに船」とは
ちょうどいいことが起きてくれた
という意味ですが、考えてみれば、そういうことって
「宿題がさっぱり分からず絶望していたら
友達がいっしょにやらないか? と言ってきた」
「ケータイの調子が悪くなって困っているとき
最新型がキャンペーンでものすごく安く売っていた」
などなど、
今までいろいろあったように思います。
渡りに船という言葉自体は
シンプルな意味の慣用句ですが
それについていろいろ考えると
「私もなかなか運がいいね」
みたいな気分になれるので、不思議といえば不思議です。
類語についてです。
まったく同じではないものの
困っていたとき助かることがあったという意味では
地獄で仏(じごくでほとけ)
日照りに雨(ひでりにあめ)
闇夜に提灯(やみよにちょうちん)
反対語では、
困ったときにさらに困ったことが起きたという意味で
泣き面に蜂(なきつらにはち)
弱り目に祟り目(よわりめにたたりめ)
というものがあります。
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