背水の陣(はいすいのじん)とは単に追い込まれる意味ではない?

苦しい状況になると
だれかが言い出すのが、

背水の陣


ギリギリまでためた宿題に
追われる状況も、この言葉を使えば
なぜかカッコよく聞こえる
魔法のような言葉です。


しかし、そのような使い方は
はたして正しいのでしょうか。

今回は、この背水の陣とは
どういった意味なのかについてです。


こういう使い方をされます


背水の陣とは(はいすいのじん)、
もう後がないという状況に身を置き
必死になって物事にあたる、

という意味です。


「背水」とは背中に水、
つまり後ろが川や海ということ、
「陣」とは、戦いのときにする
軍隊の配置のことです。

つまり、背後に川がある場所に
兵を配置して戦うこと。


こんな状況で戦いをはじめると
勝てばいいいのですが、負けた場合、
後ろに逃げる場所がない
ので
全滅するか、おぼれるかのどちらかです。


なので普通はこのような場所で戦う
物好きなどいないのですが
あえて背水の陣をしくことによって

「もう逃げ場がない」
兵たちは必死になって戦い、
結果、自分たちよりも強い相手に
勝つことがあります。



背水の陣とはこういった意味があり
これをねらって、
わざと不利な場所で戦うのです。

もちろん負けると大打撃をこうむるため
危険な諸刃の剣とでもいうべき作戦です。


現在でも

志望校一校だけしか受験しない
(失敗したら行く学校がなくなる)。

「この仕事に失敗すると退職する」
と宣言してことにあたる。


など、わざと失敗したときに
困った状況になるようにして
否応なしにがんばるしかないようにすることを
背水の陣を敷くといいます。


作戦として、
あえて厳しい状況にすることなので

例えば8月31日に
「夏休みの宿題やってない! ひー」
というのは背水の陣とは
言えないことになりますね。

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無謀とは違います


この背水の陣とは昔の中国にいた
韓信(かんしん)という武将が
行った作戦が伝えらているものです。


彼は、あえて背後に川がある場所に
自分の軍を配置して
兵たちを奮い立たせました。

それだけでなく、
その部隊配置を敵に見せて
「あのような不利な場所に軍をおくなど
愚かな武将だ」と相手を油断させ、


さらにそれで調子に乗った敵を
城から誘い出して、
空になった城を攻め落とすという
かなり綿密な作戦を実行しています。


なので、背水の陣とは
たんに頑張ればなんとかなる
という意味ではなく、

ちゃんと勝つための計算をして
その中で使う方法
ということになります。


死中に活を求める
(しちゅうにかつをもとめる)
と言うように、

きびしい状況で活路を見出すのは
昔からよくされてきたことではありますが
それだけではダメということですね。


じっさいには、なんの準備もなく
まずいことになってから
「背水の陣だ、気合い入れろ!」
みたいなことを言う人もいますが

そんな使い方をするのは
名将である韓信に失礼というもの。


「やれ背水の陣だ!」と
無茶なことをして、そのままおぼれると
ちょっとカッコわるいですし、

しっかりと作戦を立ててことに
当たるのが大事といえるでしょう。


類語には
糧を捨てて船を沈む
川を渡り船を焼く

などがあります。

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