呉越同舟の意味は、かなり奥深いです

ことわざや慣用句というものは
何かと意味を間違われてしまいやすいですが
この言葉もそうですね。

呉越同舟


本来の意味と、
それとは違う意味がごっちゃになって
議論が起きそうなくらいです。

しかし、調べていくと
なかなか面白い言葉でもあります。



本来の意味は


呉越同舟(ごえつどうしゅう)とは
仲の悪いもの同士が協力すること
という意味です。



違うよ! 
と思われた方もいるかもしれませんが
ちょっとまってください。

この言葉、呉越同舟の
由来を知っていただければ
ご理解いただけるかと思います。



そもそも呉越というのは
春秋戦国時代の中国にあった
「呉」と「越」という国。

紀元前の話なので
三国志などよりさらに昔ですね。


このふたつの国は大変仲が悪く
ずっと争っておりました。

しかし、それぞれの国の人が同じ舟に乗って、
もしその舟が嵐にあったならば
転覆しないよう協力することになる、

これが呉越同舟の由来です。


ちなみに「船」ではなく「舟」です。
舟は自分で漕ぐような小さなもので、
嵐にでくわしてしまうと
簡単にひっくり返りそうなものですね。


このような解釈がされがち


さて、先ほど
「違うよ!」と思われた方は
おそらく次の意味で解釈していたと思います。



呉越同舟とは、
敵対する者同士が同じ舟に乗っていまう
困った状況、


「例えば仲の悪いA部長とB部長が
同じエレベーターに乗って来た、
呉越同舟とはこのことだ!
そんな場面に出くわして大変困った」

といった感じですね。


あと、互いに相手の舟に乗り込んで
大変激しく争っている、
これが呉越同舟、

つまり非常に激しい戦い、
混戦の様子を表した言葉として
言われることもあります。


実際に僕は誰かにこう教わりました。


これはこれで意味として
間違っていないのかもしれませんが
本来のものとはちょっと違いますね。



もちろん「呉越同舟」という言葉だけなら
あくまでも呉と越の人が同じ舟に乗っている
というだけの意味なので
どう解釈しても間違いではありませんが。


この言葉は、もともと漢文の一部で
前後の文とあわせて考えると
これまた、なかなか興味深い話です。


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孫子の言葉


この言葉は、
「孫子」という兵法書の言葉で

「宿敵同士でも、乗り合わせた舟が
大嵐に合えば、協力することになる」


といった意味で書かれています。
そのたとえとして、
仲の悪い呉と越の人が同じ舟に乗っている
状況を述べています。


ということは、呉越同舟とは

・人を動かすには、動かないといけない状況をつくる
・仲の悪いもの同士を協力させるには共通の目的を持たす


大将が部下を動かすための方法についての
言葉と考えられますね。


現在の日本では大将もないですが
上司やリーダーと、その部下、後輩と考えるなら
今でも役に立ちそうな考えです。


嵐を起こして舟を転覆させるのは
少々あらっぽすぎるにしても、

対立するばかりの人たちに
共通の目的を持たすことで協力させる

といったことは大事でしょう。


あと、グループにわがままで困った人がいる場合でも
その人が嵐になっていて他の人たちの対立を防いでいる、
こういったことも考えられそうです。


こうやって考えると
呉越同舟というのは、かなり奥深い言葉です。

まあ今では最初に述べたように
仲の悪い人が居合わせたという意味だけでも使われますし
それが間違いとまでは言えないのかもしれませんが
本来の意味のほうが面白いと思います。

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