急がば回れの由来と語源はあの大きな湖

前の記事で述べていた

急がば回れ


とてもよく知られていますし、
意味も分かりやすいため、
使うことや耳にすることも多いでしょう。

単純なことを言っていることわざなので、
はっきりとした由来なんてないんじゃないの?
と思いそうですが、あるんですよね、

それも分かりやすいのが。

そこで今回は、この急がば回れの由来と語源になった湖のお話です。


なお、このことわざの意味については、
こちらでくわしく書いています。
急がば回れの意味は忘れやすいけど忘れると大変
由来よりも意味や使い方を知りたいかたは、こちらをどうぞ。

そうでない方は、つづきをご覧くださいませ。





古い歌からきています


このことわざの語源となったのは、つぎの歌です。

もののふの矢橋の船は速けれど急がば回れ瀬田の長橋
(もののふの やばせのふねは はやけれど いそがばまわれ せたのながはし)


ここに「急がば回れ」とありますね。


この歌を詠ったのは
室町時代の宗長(そうちょう)という人物。
(平安時代の源俊頼(みなもとのとしより)という説もあります)


ただしこれは歌なので、これだけでは何をいっているのかイマイチ分かりません。
なので少し説明を加えていきます。


まず、なにを回れと言っているのかというと湖で、
それも、とっても大きな湖なんです。


琵琶湖のことです


急がば回れの由来となったのは
日本最大の湖である琵琶湖です。

これは意外と知らなかった、という人も多いんじゃないでしょうか。


この琵琶湖、日本最大だけあって、
ぐるりと回るとかなり時間がかかります。

それも中央部分とかだと対岸が見えないくらい遠いので
まだあきらめがつくのですが、南北のはしっこ、
とくに南側は、けっこう細長くなっています。

いまは橋がかかって便利になりましたが、
昔はそんなものはなく、南に大きく回って
瀬田川の唐橋という橋までいかなければなりませんでした。


今でもやってみたら分かるんですが、
これがけっこうイライラするんですよね。
向こう岸がすぐそこに見えているのに、
ぐるーっと回っていると、なかなか着かない。

そうなると、とうぜんながら
船でスイーっと渡れば早いんじゃないか、
となるわけで、じっさいに昔からここでは渡し舟がありました。



しかし琵琶湖のそばには、
標高848メートルの比叡山があって、
時期によってはそこから風が吹き下ろしてきます。

これが船の通行をさまたげて、
ひどいときには難破したりしたそうです。

そんなことになると、よけいに時間がかかるどころか、
ひっくり返ったりしたら危ないので、
陸をトコトコ進んでいったほうが結局早くなる、

これがこの歌の意味で、急がば回れの由来の話であり、語源です。


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歌についてくわしく



急がば回れの語源としては、
上記の由来を知っていればいいでしょうけれども、

「もののふって何?」といったことが気になる方、
歌についてもうちょっとキチンと知りたいという方も
おられると思いますので、もう少しくわしく述べます。

この歌ね。
もののふの矢橋の船は速けれど急がば回れ瀬田の長橋
(もののふの やばせのふねは はやけれど いそがばまわれ せたのながはし)



まず、「もののふ」は武士のことです。
また、矢橋(やばせ)は、滋賀県草津市にある地名で、琵琶湖の東側にあります。


ここから渡し舟が、
琵琶湖の西側にある、滋賀県大津市の石橋まで出ていました。


いっぽう「瀬田の長橋」というのは、
琵琶湖の南にある瀬田川にかかる「瀬田の唐橋」のことで、

全長260メートルの橋です。


江戸(東京)方面から東海道を通って京都に向かうとき、
矢橋港から石橋港まで舟で湖を渡ると約6キロメートル、
琵琶湖をぐるりと回って南の「瀬田の唐橋」を渡ると約12キロメートルあります。

しかし、短くても危険な水路よりも、
遠くても確実な陸路を通ったほうが、結局はやくなる、
というのが急がば回れの由来ですね。


この歌を詠った宗長(そうちょう)は、
室町時代の連歌師(れんがし)で、連歌とは詩の形式のひとつです。

もうひとつの説である源俊頼(みなもとのとしより)は
平安時代の歌人で、この人は小倉百人一首でも出てきますね。
(この歌ではありませんが)


このことわざが重要なのは


この由来や語源を知ると、
急がば回れは、なかなか実感のわくことわざですね。


渡し舟があったということは、
天候さえよければ問題なく渡れたのでしょうし、
ぎゃくに大嵐で琵琶湖まるごと洗濯機になったくらい荒れていれば、
だれも渡ろうなんて考えないでしょう。

問題は、ちょっと天気が荒れているけど、
これぐらいならなんとか大丈夫じゃないの? という場合。



危険を冒すよりも、確実な道を進んだをしたほうがいいに決まっているとしても、
「遠回りするの大変だし、これぐらいだったら渡っても大丈夫じゃないの」
とか考えてしまいそうです。

冷静に考えれば、遠回りが大変なのと、渡っても大丈夫なのは、
まったく関係ないのですけどね。

それでも急いで焦っていたり、疲れていたりすると、判断をあやまりやすそうです。


実際の海難事故も、無理な出航が原因だったりすることが多いみたいですし、
なかなか分かっていてもむつかしんでしょう。

だからこそ、こういったことが
急がば回れの由来や語源になったのは納得できます。


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