鶏鳴狗盗(けいめいくとう)の意味と由来のおもしろい話

あまり使わないかもしれませんが、
考えようによっては
なかなか面白い言葉でしょう。

鶏鳴狗盗(けいめいくとう)


慣用句としては「くだらないなあ」
と思うかもしれません。

しかし、そこに含まれている考えは興味深く
ことわざとしては良いものだと思います。

今回はこの言葉についてです。




どんな意味か


鶏鳴狗盗(けいめいくとう)とは
くだらないことしかできない、
つまらない人だ
、ということです。

また、
そのような、くだらないことや
つまらない人でも役に立つことがある

という意味もあります。


ここでの
鶏鳴(けいめい)とは
ニワトリの鳴き声のマネ、
狗盗(くとう)は
ちょっと分かりにくいですが
ものを盗むことです。

まあ、こう書くだけで
ちょっとセコい感じがしますね。


「狗(いぬ)」という漢字は
なじみがないかもしれませんが、
イヌをあらわしていて、
「犬(いぬ)」とほぼ同じですが

「狗」は「犬」にくらべて
「小さいもの」という意味合いが強くなります。


さらにイヌはですね、あのほんと、
犬好きには許せない話だと思いますが、
「せこいもの、こそこそするもの」
といった意味で使われることがあります。



たとえば
「この政府の犬が!」とか言う場合は、
力の強い政府にへつらって従っている
せこい人、ということになるのですが、

この鶏鳴狗盗の「狗」も
そういった、
バカにしたようなニュアンスで
「イヌのようにこそこそと
盗みをはたらく人」

ということになります。


まあイヌがセコイかどうかは
また別にして、言葉としては
この鶏鳴狗盗はつまり

「ニワトリの鳴きマネや
こそこそ何かをぬすんだりできるよ!」

ということで、つまるところ
くだらない特技ということです。

というか盗んじゃダメじゃないの
という話ですね。


由来の話


鶏鳴狗盗(けいめいくとう)のように
漢字がごちゃっとならんだ
一見すると意味が謎の四字熟語は

たいていの場合、中国の故事成語が
もとになっているのですが
これもそうですね。

史記(しき)という歴史書の
孟嘗君伝(もうしょくんでん)

という部分にある
次の話が由来になります。


昔の中国、斉(せい)の国に
孟嘗君(もうしょうくん)
という人物がいました。

彼はあるとき、秦(しん)の国の
昭王(しょうおう)に
とらえられてしまいました。


そこで孟嘗君は部下に
キツネの毛皮をぬすんでこさせ、
それを贈って昭王に仕える人の
ごきげんを取ったりして
うまく逃げだします。


すると今度は関所があり、
門がしまって通れません。

その門は朝になって
ニワトリが鳴くと
開けることになっていたので

今度は部下に
ニワトリの鳴き声を出させたところ
門があいて、通ることができました。



……だいたいこんな話。

三国志の関羽とかだと
どかんと力ずくでやぶって
「さすが関羽!」
となるのにくらべて
なんと小ずるい話なんでしょう!


と思うかもしれませんが、
これには大切な教えがあります。


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つまらないことでも役に立つ


最初に少しふれましたが
鶏鳴狗盗(けいめいくとう)には
つまらないことや
くだらないことしかできない人でも
役に立つことがある、

という意味もあります。


さっきの話ですと
ニワトリの鳴きまねが出来る人
イヌのようにこそこそと盗みをする人

孟嘗君はこういった人の特技をいかして
まんまと逃げることに成功しています。



関羽のような、むちゃくちゃ強い人物が
味方にいたら、そりゃ誰だって
逃げられるわけですが
なかなかそういった人はいないですからね。

一見するとしょうもない芸を
うまく活用した孟嘗君が
それだけすぐれていたということになります。


使い方は


すでに述べたとおり
この鶏鳴狗盗(けいめいくとう)には

・つまらないこと、または人
・そんなものでも役に立つ


というふたつの意味があるので
それぞれの使い方ができますね。


前者での場合

「あいつは邪魔ばかりしてくるけど
みんな鶏鳴狗盗だから気にするな
という使い方ができそうです。


つまらないいたずらとか妨害は、
くだらないと分かっていても
いらいらと気になることがありますが、
そんなことに足を
ひっぱられないように
いましめる使い方ですね。



また

鶏鳴狗盗ですが、
私の芸を見てください」

といえば、
「つまらないものですが
よかったら見てください」
という意味になります。

仕事で使うとちょっと謙遜しすぎというか
「この人、自信ないのかな」
と思われそうですが、
飲み会の席でちょっとした手品を披露する
なんて場面で使うといいかもしれません。



後者の意味はもっと活用しやすそうです。

「あいつはゲームが
やたらと上手いけど
ほかになんか取り柄ないのかな」

「いや、鶏鳴狗盗というし
ゲームだって何かの役に立つかもしれないよ


じっさいにゲームが上手くて
プロゲーマーやゲームの解説で
生活する人もいますし、

そうでなくてもプログラマーなど、
ゲームから仕事になることは多いです。


ぱっと見た印象で
判断してしまうよりも
それが何かの役にたつかもしれない
と考えるのは大切なことです。



そんなに有名な言葉でもないので
いずれの使い方でも
「鶏鳴狗盗って何?」
とか聞かれちゃうかもしれませんが

それはそれで
先ほどの孟嘗君の話をすれば
いいかもしれませんね。


人の使い方がうまくなります


たとえば
アイシールド21という
アメフトの漫画がありますが、

これは他のチームで
「つまらない奴だ」
とバカにされていたような人が
主人公のチームに入ると
頭のいい人物に活躍の場を与えられ
結果、勝利していくという話です。


野球でも楽天の野村監督は
ほかのチームで活躍できなかった選手を
うまく活躍させたことで有名です。



どうしてもイチローのような名選手や
関羽のような強い人物が注目されますが、
じっさいにはそんな人がチームメイトや
部下だったりすることはめったにないので

「走ることだけ得意な選手を
ここぞという場面で起用する」

「雑用ぐらいしかできない人物が
実は整理の達人だった」

など、鶏鳴狗盗の意味のように、
ちょっとした才能や特技を
うまく活用していくことを考えていくと
思いがけない成果がでることでしょう。



似た意味のことわざには

馬鹿と鋏は使いよう
(ばかとはさみはつかいよう)

少し違いますが
つまらないものでの意地がある
という意味では


というものがあります。


ことわざとしては
これらのほうが有名ですが
鶏鳴狗盗(けいめいくとう)は
由来となった話がおもしろいので
あわせて知っておき、
必要に応じて人に話すのもよさそうですね。

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