一寸の虫にも五分の魂の意味は弱い立場でも強い立場でも大切

弱いものが強いものに立ち向かう、
というのは、物語などでよくありますが、
これもそれと関係してそうですね。

一寸の虫にも五分の魂
(いっすんのむしにもごぶのたましい)



分かりやすいことわざだと思いますが、
「虫」が出てくるあたり、
使い方にはすこし注意がいりそうです。





意味について


一寸の虫にも五分の魂
(いっすんのむしにもごぶのたましい)とは、
どんなに弱い者でも意地や感情があるものだ、という意味です。

また、そこから、
弱いものでもあなどったり、ばかにしてはいけない、
という教えがあります。


一寸の虫にも五分の魂というから、
たとえおとなしい人だからといって、
いじめたりしてはいけない。

とか、

あの部長は自分のことを
「なにもできないやつ」と、ばかにしてばかりいる。
だが一寸の虫にも五分の魂だ
見返してやるぞ!

といった使い方ができますね。


「一寸」というのは約3cm、つまり小さいもの、
「五分」は約1.5cmで、さらに小さいもの、

という意味で考えるといいでしょう。

まあ都会に住んでいる人にとっては
3センチメートルの虫ってけっこうでかいですし、
苦手な人が家の中で見たら「ギャー」となりますが、
人間に比べたらずっと小さいですからね。

それでも、ちゃんと魂があるんだから、
あなどってはいけない、という話ですね。


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気をつけることは


このことわざを使うにあたって
気をつけるべき点は、

・「一寸」とか「虫」は、あくまでたとえ
・それでも「虫」にたとえているので、ちょっと失礼

ということですね。


ここでの「虫」「一寸」「五分」というのは、
小さいもの、弱いもののたとえなので、
「虫にだって意地がある」ということわざではないです。


もちろん小さくて弱い虫だって
むやみにいじめてはいけない、
という意味で使っても間違いではないでしょうし、
生き物を大切にするのは素晴らしいことには違いありませんが、

もともとの使い方としては、
「弱い人間」「立場の弱い者」のたとえとして
「一寸の虫」という表現しています。


だから
「本当に虫に魂があるのか?」
「3cmより小さい虫の立場はどうなる!」
という疑問は、あまり意味がないでしょう。


もうひとつは、たとえてるのが
なにしろ虫なので、人に使うには注意がりますね。



部下「A君は大したことないから
ほうっておいたらいいですね!」
上司「一寸の虫にも五分の魂というから
そんなこと言っちゃいかん。ちゃんと面倒見てあげなさい」


この場合、上司は
「A君はいいところもあるのだから、しっかり面倒をみなさい」
というよりは、

「そうだね、君の言うとおりA君は
虫ほどの価値しかないよね、
でも虫だって魂があるというから、面倒みてあげてね」
という意味のほうが近いですね。
なんだかあんまりA君のフォローになっていないです。

もちろんこの部下の言うとおり、
A君が本当に大したことない、ろくでもない人物なら
しょうがないかもしれませんが、
そうでないなら、
うっかりこのことわざを使わないほうがよさそうです。



類語に「なめくじにも角」というのもありますが、
ほんと、この手のことわざはひどいもんですね。

まあこういう言い方は
今度は虫やなめくじに対して失礼だ、
となるかもしれませんが、

だからといって
虫とかなめくじに例えられて喜ぶ人は、
あんまりいないでしょうから、
やはり使い方には注意がいりそうです。


おわりに


注意する点もあるとはいえ、
この一寸の虫にも五分の魂というのは
個人的には好きなことわざのひとつです。


立派な人物、本当に強い人は
弱い立場の人をむやみに攻撃したり
「あいつは大したことない」
とあなどったりしないように思います。


反対に、自分が虫の立場、
たとえば新しい職場で新人として行っているが、
そこで理不尽な目にあっているときなども、
「一寸の虫にも五分の魂だ、見てろ」
というように、なにくそと気合いをいれる使い方もできます。



どんなに弱いものでも、
追い込まれたりするなどで本気の本気を出せば、
周囲があっと驚くようなことが出来ますし、
実際にそのようなことを目にしたこともあります。

「まさかあいつが」というようなことですね。
窮鼠猫を噛むといいますし。

したがって、この一寸の虫にも五分の魂も
確かなことを言っていると思います。
自分が弱い立場でも、強くなってからでも
どちらでも使えることわざですね。



ただ、さっきもすこし触れたとおり、
直接あいてに行ってしまうと
かえって相手を見下している言い方になったり、
挑発しているように聞こえやすいので、

口にだして言うよりも、
心のなかで肝に銘じておくような使い方が
いいかもしれません。

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