雄弁は銀沈黙は金の意味、結局どっちが大事でどっちが先なのか

これは好きなことわざのひとつです。

雄弁は銀沈黙は金(ゆうべんはぎんちんもくはきん)


雄弁は銀沈黙は金


順を逆にして沈黙は金雄弁は銀ともいいますね。

「お前はだまっとれ!」みたいな使い方をされそうですが、
もちろんそんな単純な意味のことわざではありません。

これをマスターすると、交渉などがぐっと上手くなるものです。




ことわざの意味


雄弁は銀沈黙は金(ゆうべんはぎんちんもくはきん)とは、
うまく話すことも大事だけど、
じっと黙っていることはもっと大事だという意味です。


沈黙は金



「おもちゃ買ってー」
「だめ」

こんな時どうするか。


「ほしいよう。おもいろいんだよう。みんな持っているんだよう」
これぐらいはいいでしょう。雄弁は銀です。
雄弁ってほどでもないですか。でもまあ大丈夫でしょう。


問題は、それでも
「だめ、いらん」となった場合。

1.「ほしいんだよ! 買って買って! ぎゃあぎゃあ」
2.「…………(涙)」


どっちが効果的か?

もちろん時と場合によりますが
やはり「2.」は効きますよね。

急に黙られるとかえって
「うーん、しょうがないかな」となるものです。



「1.」のぎゃあぎゃあも効くには効きますが
どっちかというと「ムリヤリ買わせる」ことになるので、
そのときは上手くいっても「わがままなやつ」と思われて
のちのちを考えると良くないですし、
そもそもあいてを怒らせるだけで買ってもらえないことも多いです。

それにたいして
「2.」は何も言っておらず、
最終的にはあいてが買ってあげると決めているので
うらみも買いにくく、高等なやり方です。



こうったことが沈黙は金雄弁は銀の意味がわかる一例でしょう。


おねだり



例では子供のはなしでしたが、
大人になっても結局はおなじことが言えて、
あれこれ話したあと、ふっと黙ると話がうまくいくことが多いものです。


こんな使い方は大丈夫?


雄弁は銀沈黙は金はイギリスの歴史家であり評論家でもある
トーマス・カーライルの『衣装哲学(いしょうてつがく)』という本の言葉から来ています。
つまり外国から来ていることわざなんですね。



もともとはさっき言ったとおり、
「話すことは大事、でも黙ることはもっと大事」
というものですが、

日本では「沈黙は金」の部分ばかりが強調されて
「とにかく黙っているのがよい」
という意味になっていることもあります。

黙っていろ



たしかに日本人は
以心伝心(いしんでんしん)
阿吽の呼吸(あうんのこきゅう)
というように、
話さずになにかを伝えるということが得意ですから
そのような解釈をされるのも自然な話です。

ただし「沈黙は金雄弁は銀」は
ただ黙っていればよいという意味ではないので
これは少し意味に違いがあります。



もちろんこれはこれで大切な教訓ですし、
日本ではあまりしゃべりすぎないほうが好まれる傾向がありますから、
「雄弁は銀沈黙は金」を「だまっているのがよい」と使っても
嫌がられはしないと思います。

ただ、本来の意味とは違いますので、それならば
口は災いのもと
といったことわざのほうが、よりふさわしいでしょう。


スポンサーリンク


雄弁だって「銀」


ほかにちょっと違う解釈として
「話すなんてくだらないことだ」というものもあります。

これもさっきの「とにかく黙っているといい」
というのと似た意味になりますね。


たしかに「沈黙は金雄弁は銀」とならべらると
いかにも「雄弁なんて価値がない」と考えてしまいそうですが
銀だって金にはおよばないというだけで
じゅうぶん素晴らしいもので、

必要なことをきちんと話していくというのも大事なことです。


きちんと話す



さっきの例でもただ「……」と黙っていたら
勝手に欲しいおもちゃを買ってくれるわけではなく
ちゃんと「欲しい」と伝えたうえでの沈黙だからこそ効果があるわけです。

なので銀であるところの雄弁を使い、
ここぞ、というところで切り札を出すように
沈黙は金と使うといいでしょう。



そもそも金と銀はどっちが上?


ぎゃくに、
「かつては金よりも銀のほうが価値があった」
という理由で、

雄弁の銀のほうが沈黙の金よりも価値がある、
だからどんどんしゃべるべきだ!
という解釈があるようです。

でも辞書にはそういった意味では載っていませんし
この説の出典もあいまいで、これは間違いの可能性が高いです。


しかも真逆の意味になってしまうので
こういった使い方はしないほうがいいでしょう。


そもそも金と銀は時代によって違いがあるのの、
銀の価値が金を上回ることはほとんどなかったですし、
現代の感覚でも金のほうが上というのは常識になっています。

ここは素直にそれにしたがって「金のほうが価値がある」と考えたほうがいいでしょう。


とにかくしゃべりたいぜ!
という方には許しがたいことわざかもしれませんが、
あくまで上手に話すことも大事、
でもそこに沈黙が加わるとさらにすごいよ!

と考えると受け入れられると思います。

べつに話すことを否定している意味のことわざではないですからね。


「雄弁」と「沈黙」どっちが先?

疑問

もうひとつの疑問として、

「雄弁は銀沈黙は金(ゆうべんはぎんちんもくはきん)」
「沈黙は金雄弁は銀(ちんもくはきんゆうべんはぎん)」
どっちが正しいのか? 

というのもあります。

これについては、両方辞書に載っていて、
どちらでも使えますし意味もおなじです。
なので好みの問題ですね。


個人的にはどっちかというと前者のほうが好きです。

「話すことは大事、黙っているのはさらに大事」
という言葉の意味どおりの順ですし、
「沈黙は金雄弁は銀」だとなんとなく
「雄弁」の部分が軽んじられているような気がするんですよね。


どちらも大事、でも沈黙がより大事という意味では
「雄弁は銀沈黙は金」のほうがしっくりくるように思います。


もちろんこれは個人の好みですし、
意味はおんなじなのでどっちでもかまいません。

それにおしゃべりが過ぎるのを戒める意味では
「沈黙は金雄弁は銀」のほうが
「沈黙」が先に来ているので効果的だと思います。



まとめ


人間関係がうまくいっている人は
ほとんどの場合、話すのがうまいだけでなく
人の話を聞くのも上手なことが多いです。


だれだって自分の話をちゃんと聞いてくれるとうれしいですし
そんな人には好感をもつものです。


好感をもてる人


いっぽうで「雄弁は銀」としているように
上手に話すことの価値も認めているのが
このことわざの見事なところですね。



意味もさきほど言った通り
こまかいニュアンスに違いはあるものの
誤用されているというほどでもないですし、
積極的に使っていっていいことわざじゃないでしょうか。

ただし弾丸のようにしゃべりまくる人に
「沈黙は金雄弁は銀だよ」
といきなり言うと怒りだすことがあるので
その点はご注意を…。


類語は、まったく同じ意味のことわざはなかなかないですが、
「黙っているほうがいい」というニュアンスでは

口は災いのもと(くちはわざわいのもと)
言わぬが花(いわぬがはな)
言葉多きは品少なし(ことばおおきはしなすくなし)

などがあります。

スポンサーリンク

特集記事!こちらも合わせてごらんください
おすすめ!⇒楽しくことわざなどの知恵を覚えるにはこれ
大丈夫?⇒誤用しやすいことわざや慣用句
ここぞという時に⇒苦しい時やいざという時に力になることば

2 Responses to “雄弁は銀沈黙は金の意味、結局どっちが大事でどっちが先なのか”

  1. あつし より:

    雄弁は銀の解釈には同意しますが沈黙は金についての私の解釈は、「黙るべき時を知る事がより大切」です。空気読んで聞くときゃ聞いとけ、的な。

    • みずしま より:

      コメントありがとうございます。返事が遅れて大変申し訳ありません。

      言われてみると「黙るべき時を知ることがより大切」という視点がぬけておりました。

      ご指摘ありがとうございました。

あつし へ返信する

サブコンテンツ

このページの先頭へ